プログラム

10:00~11:00

能動的サイバー防御導入の背景と影響

概要:
2025年5月に成立した重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(サイバー対処能力強化法)は、政府が攻撃による被害顕在化の前に、重要インフラを含む民間で利用されるコンピュータを保護することを可能とする。本法によって、政府は、通信情報の活用によってサイバー攻撃の兆候をとらえるとともに、相手側の無害化を行えるようになる。例えば、民間事業者が管理運用する脆弱性を持つコンピュータを、政府が管理者に代わってアクセスし、脆弱性を修正することができる。本講演では、本法の背景、狙い、及び民間企業への影響を解説する。


芝浦工業大学システム理工学部 
准教授 

持永 大氏

早稲田大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。専門はネットワーク工学、サイバーセキュリティ、国際関係論。株式会社三菱総合研究所にてネットワーク技術、サイバーセキュリティ関連技術、情報通信政策、及び外交・安全保障政策に関する調査・研究に従事。一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターにてサイバー空間上の脅威分析に従事。2022年から現職。JPCERTコーディネーションセンター専門委員を兼任。著書に「能動的サイバー防御
日本の国家安全保障戦略の進化」(日本経済新聞出版、2025年)ほか。

11:00~11:45

AIエージェントを武器にする攻撃者にどう立ち向かうか ― 研究動向から見る防御戦略

概要:
近年、国家支援アクターやランサムウェアグループが、Claude Codeをはじめとする高度なAIエージェントを悪用し、半自動化された攻撃を実行し始めています。EDRによる検知自体は可能である一方、その攻撃スピードはSOCのオペレーション能力を上回り、「見えているのに止められない」という新たなギャップが顕在することが予見されます。
一方で、Usenix 2025をはじめとする国際会議では、AIエージェントの特性を逆手に取り、時間を稼いだり、攻撃プロセスそのものを撹乱・停止させたりする新しい防御手法が報告され始めています。
本講演では、AIエージェントに関する最新の攻撃動向と、それに対抗する防御戦略の概要とその効果について、デモを交えながら解説します。攻撃側がどのようにAIエージェントを組み込んでいるのか、守る側がどのように対策すればよいのか、AIエージェントを悪用した攻撃への備えを具体的に考えるきっかけとなれば幸いです。


株式会社NTTデータグループ
情報セキュリティ推進室
NTTDATA-CERT担当
中島 佑允氏

2019年にNTTデータグループに入社し、営業として画像処理や自然言語処理ソリューションなどを販売。
2023年4月より同社のCSIRT部隊「NTTDATA-CERT」に異動し、インシデント対応、スレットハンティング、IoCの収集〜配信業務、並びにLLMを用いたCSIRT業務の効率化に従事。
また、C2フレームワーク開発、EDRバイパス、OSSの脆弱性探索、バグバウンティプログラム参加などオフェンシブセキュリティに強く関心を持つ。
Black Hat USA 2025 Arsenal、HITCON 2025、JSAC 2025、BSides Tokyo 2025などのカンファレンスで登壇。
CISSP、OSDA、OSTH、統計検定1級。

11:45~13:15 休憩

13:15~14:00

サイバーセキュリティ脅威動向概論 2026年版

概要:
講演者自身が月間数百本の脅威分析レポートやインシデント事例等の公開情報、及び、独自調査、リサーチャコミュニティ、自社CSIRT活動等の様々なチャネルより日々収集する膨大な情報から特に重要なポイントを抽出し、セキュリティ担当者が押さえておくべき攻撃者側の体制変化や多用されている攻撃手法について、おおよそ4つのジャンルの分野に分けて広くご紹介する予定です。いま、重大なインシデントが多発する背景についてわかりやすさ重視でお伝えします。


株式会社マクニカ
セキュリティ研究センター センター長補佐 
瀬治山 豊氏


マクニカ セキュリティ研究センター所属。脆弱性の影響範囲や日本企業を狙うランサムウェア関連の脅威動向をリサーチし、SNS、カンファレンス、メディア、自社ブログ等で情報発信を行っている。また、マクニカグループにおける企業セキュリティ担当者としても活動し、グローバルでのインシデント予防と対処に従事。外部活動としてはテレビ・新聞などへのメディア出演、神奈川県警察テクニカルアドバイザー、IPA 情報セキュリティ10大脅威選定員としても活動。

14:00~14:45

TBD

概要:
TBD


株式会社NTTデータグループ
システム技術本部 サイバーセキュリティ技術部
NTTDATA-CERT担当
大嶋 真一氏

セキュリティ診断とフォレンジックのスペシャリスト。国内・海外のインシデント対応に従事。
最先端のフォレンジック技術を採用したFast Forensicツールを開発。
NTTDATA-CERT所属。

14:45~15:45

TBD

概要:
TBD


株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Cloud & Infrastructure技術部
情報セキュリティ推進室
NTTDATA-CERT エグゼクティブ・セキュリティ・アナリスト
新井 悠氏


2000年に情報セキュリティ業界に飛び込み、株式会社ラックにてSOC事業の立ち上げやアメリカ事務所勤務等を経験。その後情報セキュリティの研究者としてWindowsやInternet Explorerといった著名なソフトウェアに数々の脆弱性を発見する。
ネットワークワームの跳梁跋扈という時代の変化から研究対象をマルウェアへ照準を移行させ、著作や研究成果を発表した。
2013年8月からトレンドマイクロ株式会社で標的型マルウェアへの対応などを担当。
2019年10月、NTTデータのExecutive Security Analystに就任。近年は数理モデルや機械学習を使用したセキュリティ対策の研究を行っている。
2017年より大阪大学非常勤講師。著書・監修・翻訳書に『サイバーセキュリティプログラミング』や『アナライジング・マルウェア』がある。CISSP。
NTTグループの日本国内従業員約30万人中10名しか認定されていない認定資格NTTセキュリティマスターの保持者。

15:45~15:55 休憩

15:55~16:55

ランサムウェア集団は「まるでトクリュウ」協力者が記者に語った実態

概要:
2025年は日本を代表する企業が相次ぎランサムウェアの攻撃を受け、企業活動がストップするなど深刻な被害を受けました。カネ目当てに世界中の企業や組織を恐怖に陥れるサイバー犯罪集団の脅威。その裏側に存在するのが、実行役として世界中に点在する「協力者」です。日本経済新聞の連載「サイバー災害」の取材に応じた協力者の男性が語った実態について、より深掘りした内容をお話しします。


日本経済新聞・編集委員(サイバーセキュリティ担当)
須藤 龍也氏

主にサイバーセキュリティー分野を担当する編集委員として、2024年10月に日本経済新聞社に入社。前職は朝日新聞社で、国内外のサイバー攻撃事案やハッカーの動向を10年以上にわたり追い続けた。LINEの情報が中国や韓国からアクセスできる状態にあった問題をスクープし、2021年度の日本新聞協会賞を受賞。このほか三菱電機へのサイバー攻撃(2020年)、神奈川県庁のHDD流出・転売事件(2019年)などを特報した。